これはある男が大学の入学とともに東京へ上京してきたときの話。

入学から一ヶ月がたったある日のことだった。
大学から帰りいつものように一人でくつろいでいると携帯電話が鳴った。
「はい、⚪︎⚪︎です。・・・」
相手は高校時代の友人で今晩泊りに来て欲しいというような内容だった。
男は一旦断ったがどうしてもと言われ渋々了解した。
友人の家は男の家から徒歩10分程度の杉並区のアパートだ。
友人の家に入ると異様な光景に男は驚いた。
なんと隙間という隙間をガムテープで塞いでいたのだ。
「おお、来てくれてありがとう・・・」
元気のなさそうな声でお礼を言われた。友人は高校時代は快活で常に元気のある様な人だった。
この数か月で彼に何が起こったのだろうか?と男は思いそう問い詰めた。
しかし、友人はああ、うんと曖昧な返事をしてけして答えようとはしなかった。

その日の夜、友人はずっと何かに怯えたように「ミテルミテル」と寝言を言いうなされていた。
眠りに入って数分するとハッと起きる。こんなことを一晩中続けていた。

次の朝、友人は泣きながらお礼を言ってきた。
男は友人の行動を不思議に思いながら自分の家に帰ると誰かに見られているように感じた。

もちろん部屋には誰もいないし、ペットも飼っていない。
何かの気のせいだと思い、青年は特に気にしなかった。

次の日も部屋でくつろいでいると、また誰かに見つめられているような感覚に陥った。

部屋には青年一人しかいないし、3階なので人に覗かれることも
考えにくい。

押入れの中に誰かが隠れているのではないかと思い、押入れを開けてみたが、特に変わった所は無かった。

そして、そのような状況はほぼ毎日続いた。

ある日、いつものように視線を感じる方向を見た瞬間、彼はタンスと壁のわずかな隙間から、こちらをじっと見つめている女性の姿を見つけてしまった。

「うわぁっ」
と男は悲鳴をあげ、無我夢中で隙間をあの友人の部屋のようにガムテープで塞ぎ始めた。

その女はその姿をじっと隙間から見続けるのだった。


投稿者:春35番