僕には、ベネズエラの友達がいる。名前は仮にバルデスとしよう。
そのバルデスは陽気な性格で南米の国、ベネズエラにぴったりのラテン系な感じ。
ジョークをよく話す明るいやつだけど、彼には不思議な力があり、幽霊が見えるらしい。
バルデスから直接そのことをきいてはいたものの、全然信じていなかった。
最初は信じられなかったがあの事件があって以来、彼の力が本当だったと知るようになる・・・。

それは、友達が新しいマンションに引っ越したということでうちに遊びにいったときの事である。
友達のうちは、アパートの2階。リビングに台所つきで、風呂トイレは一緒で、8畳の部屋。家賃は95000円らしい。
友達はとても喜んで部屋に招待してくれたけど、バルデスはなんか暗い顔をしていた。どうしたのって聞いたら、
彼は「トテモクライカンジガスル。」とぼくにつぶやいた。「そうかな?俺は何も感じないけど・・・。」とバルデスにいった。

その日は何もなく終わった。後日、その部屋の友達から、こんな話を聞いた。何でも彼が夜中、なぜか起きてしまったらしい。
時計を見たら夜中の2時。彼は夜中に目が覚める事は滅多にないという。また友達が寝ようとしたら、どこからか子供の泣き声が聞こえてきて、あわてて耳を塞いだがむしろ音が大きくなったという。
体を動かそうとしても金縛りみたいになって体が動かせない。友達はいつのまにか気を失ってしまった。
友達はそのとき、夢みたいなものをみたらしく、お母さんが子供に虐待をしている夢を見てしまったという。

友達は、すぐさま大家さんにその話をした。すると大家さんは「あなたが住む前には、この部屋はお母さんとお子さんが住んでいてね、とても仲が良かった家族だったのよ。でも、そのお子さんが重い病気にかかってしまい、その部屋を引っ越したそうよ。
だから、その家に問題はないと思うんだけど・・・。」といわれたという。

こういう事があったという話を聞いていたら、バルデスの話を思い出した。バルデスにその話をしたら、
「ナゼカ、ソンナキガシテイタンダ。チョウサニイコウ」と彼にいわれた。僕はあまり気が進まなかったが、
友達を放っておけなかったので、ついていった。彼の部屋にいった。彼は前よりもやつれてしまっていた。
友達によるとあの現象が今現在でもなくならないどころか、ひどくなっているのだという。
神社にお払いにいっても効果がないらしい。

友達の話を聞いていて、なんとかしてやらないといけないと思ったが怖すぎて、部屋に入るのがやっとだった。
部屋になにかあるのではと思っていたがそれらしい物がない。とくに友達の部屋には特に何もない。
しばらくしていたら、バルデスが、リビングの端の壁を指差して、「コドモガカベニハイッタヨ!」と叫んだ。
僕らが、急いでそこの壁に近づいた。じーっとその壁をのぞいたら、壁紙が少しめくれるようになっているのに気がついた。
少しぴろっとなっていて、その壁はめくれるのか、せーのでめくった。そしたらびりびりっと大きな音を立てて壁がめくれた。

少しびっくりしてそのめくったところを見たら、小さい物置みたいなところが出てきた。それは、その扉を押すと開くような仕組みになっていたので、その物置をあけたら、真っ暗だ。友達のうちにあった懐中電灯を取り出しておそるおそるのぞいた。
そしたら、バルデスが「ウアーーーー!!!」と叫んだ。僕はびっくりしてバルデスが驚いた方に目をやった。
そしたら、小さい子供の白骨化した遺体が出てきた。僕も思わず大きな声で叫んでしまった。
隣の住人さんも駆けつけてくれて、大家さんもすぐ来てくれた。すぐさま警察に通報し、警察も到着。
アパートの前に大きな人だかりができるほどだった。

あまりのショックに僕は腰が抜けてしまい、友達も言葉を失ってしまった。後日、その母親が逮捕された。
なんでも、子供が重病になってしまったのは嘘だったらしく、子供ができてすぐさま旦那と別れてしまったという。
旦那は子供を生まれる事をずっと反対していた。しかし、子供が生まれてしまい、母親はひどく落ち込んだ。
旦那と別れてしまえば、もっと生活が苦しくなる。子供さえいなければ、子供が生まれてこなければ、
こんな事にはならなかった。と思った母親がその苦しみから解放されると思った上での犯行だったという。

友達はすぐさま引っ越す事を決意。今はそんな現象は起きてないという。
バルデスに友達は心から感謝していた。僕もその力を信じていたら、バルデスの話を聞いていたら友達は、苦しまなくて
済んだのにと激しく後悔した。それ以来、バルデスとも仲良くやっているし、バルデスには何度か助けてもらっている。
こんどは、バルデスの為に何かをしてやれないかと考えている。

あの小さい子供の魂が安らかに眠ることを願っている。結婚をして、おなかの中には小さな命が宿っている。
これから生まれてくる我が子には、こんな思いは決してさせたくないと思った出来事でもあった。

投稿者:テラス