これは今年の夏に俺が実際に体験したこと。 
24年生きてきた中でもわけがわからない体験だったし、思い出すと怖いんだけど、 
今は特に何も起こったりはしてないので書き込んでおくよ。長いんでごめんね。 

俺は関東でフリーターやってる。
今年の8月、中部地方のペンションに二泊三日で一人旅に行った。 
学生時代には旅ってのもよくしてたし、
最近はのどかな田舎の風景を買ったばっかのデジカメで撮ってまわるのが楽しみだった。 
(某写真ブログを見て影響された結果もあって) 
日中は電車とかバスでフラフラ、でも田舎だからあんまり本数が無いんで待ち時間の方が多かったかもだけど、 
時間つぶして夕方にはペンションに帰る。それだけなんだけど、楽しんでた。 

そのペンションは家族で経営していて、その中には同年代のYさんがいた。 
Yさんからの「どこから来たの?」とか「よく一人旅とかしてんの?」とか他愛も無い会話から始まって、 
夕食もらった後に一緒に酒呑んだりして、それもすごい楽しかったな。
二日目の夜にはYさんは「また来なよ!」とか言ってくれた。

三日目の朝早くに清算を済ませ、荷物はペンションに置いといて、少しまた付近を散策してみようと思って出かけた。
ペンションの最寄り駅から電車に乗って、15分くらいのところで降りたんだよ。 
その辺は少し歩いていくと人家もまばらで、部外者の俺は警戒されるんじゃないかな~、と思ったんだが、 
まぁカメラをさげていりゃ怪しまれないだろうと考え、あっちでパシャリ、こっちでパシャリ、やってた。 
民家のすぐ近くを通り過ぎるような道を通った時には、その家の子供がこっち見てたりして。 
「こんにちは~」と言ったら「こんにちは!」といって家の後ろに走っていってしまった。 
なんだ案外大丈夫じゃね?いけるいける!と探索を続けてた。 

そんで、少し山に近い位置まで行ったら、葦が茂ってる原っぱみたいなとこについた。 
この辺は畑も無いんだなー山近いし、と原っぱの向こうを眺めたら、葦の葉の隙間から鳥居が見えんの。 
鳥居の向こう側には、山へ登っていく感じの階段も見えてる。 
まじか!と思った。これぞ俺の望んでたポイント!と内心大喜びして、神社に向かった。 
階段を登っていくと、神社の建物とかはかなり古い感じがして、 
一応申し訳程度の管理はされているみたいだったけど、
境内は苔むしてたり、完全に俺の嗜好そのままの環境だった。
で、試行錯誤して、神社をいろんなアングルから撮りまくった。

流石にだいぶ撮れたので俺も満足。 
「これいい写真撮れたよなー。ブログとか作ってアップしよっかなー」なんて有頂天になりながら階段を降りて、 
さっきの原っぱで中腰になって、最後に葦の葉の隙間から見える鳥居を撮ってたんだ。 
そしたら、レンズ越しに遠くの鳥居の階段を、赤い服着た子供が走って降りてくるのが見えた。
あれ?子供?神社の周りに人家は無いんだけど?とか色々疑問なんだけどさ、
もしかしたら怒られるんじゃないかなー、なんて気がして、
その女の子が近づいてくるのをただ立って待ってた。 
なんか逃げらんないような気もした。 

その女の子は俺の目の前までやってきた。 
(顔がよく思い出せない。なんでかわかんないんだけど、女の子の輪郭がぼやけてピントが合わないんだよ。 
 でも何故かその時は違和感を感じなかった) 
「ねーお話してー」と言って、手に持ってた絵本を俺に見せる。 
絵本を見ると、俺が小学生低学年のころ持っててよく読んでた絵本だ。 
(なぜか絵本については細部までがはっきりと見えた) 
「絵本・・・?へぇー、俺もこれ、よく読んでた」と思って渡された絵本を見てみたら、 
どう考えても、汚れ具合とか擦り切れ具合があの当時のままだ。
裏面を見てみたら、なんと子供時代に俺の書いた名前が入ってる。

なんで!?もうとっくに捨てたはずだろ、と思ったから、「えっ!、これ・・・」って女の子の顔見たの。 
そしたら女の子は俺の腰辺りの服をガッって掴んで、俺を見上げてんだ。 
その顔には目も口もなくて、ただぽっかり大きな黒い穴が開いてた。 
そんで、たぶん俺の目を見ながら「ねぇ。」って甘えるみたいな声出した。 
俺は素で「ヴぉお”お”っ!」って声出してのけぞったよ。
絵本も、買ったばかりのカメラも落としちゃったんだけど、そんなこと気にしてる場合じゃない。 
速攻でさっき来た道を走って、とにかく早く駅まで逃げようと必死だった。 
(なんであの時、カメラをおいて逃げたのか悔やまれる。
 でも当時は本当に怖い、逃げなきゃ、としか考えられなかった) 

駅に着いたらちょうどペンション方面行きの電車が出発待ちしてるんで、切符かって乗り込んだ。 
今考えると、空いてるのに席にも座らずにバーにつかまってガタガタ震えてる奴なんて、気味悪かったろうね。 
でも俺はその時変なもんが見えてて、パニックになってた。 
電車の窓からホームを歩いている人が見えるんだが、
そのうちの何人かの顔の輪郭がぐにゃぐにゃに曲がって、いろんな顔になる。 
そいつらがこっちを見る。で、顔の向きを戻して去っていく。 
(ほんとに、目を合わせない分にはぼーっと見入ってしまう。見事なんだ。
 でも、目が合った瞬間、恐怖でうわぁっ!となってしまう。 
 あれにつかまったら死ぬ、死ぬ、と感じてた。しかも全員、灰色っぽい色してる)

服装も着物みたいで、ぐにゃぐにゃの中には、洋服なんか着てる奴は一人もいない。
俺はもう目をぐっとつぶって、一刻も早くペンションに着いてくれと念じながら耐えてた。 
これでもかってくらい脂汗は出るし、インフルの時みたいに常に悪寒が走るし、本当に辛かった。 
(あの女の子に会ってから、ほとんど熱にうかされたときみたいに記憶が断片的) 

ようやくペンションについて、ロビーにYさんがいたんで、 
「か、かえるわ!ちょっとおれの荷物もってきて!!すぐ!」と何故か命令。
Yさんの両親もやってきて、どうしたの、何かあったの、とすごく心配してくれてたとおもう。 
「○○駅でおりて!写真とってたらじんじゃの、と女の子の!」と俺は頭抱えながらパニック。 
Yさんの両親は、荷物を取ってきてくれたYさんに「すぐ××駅に連れてってあげな!」とか言ってた。 

あぁ、駅まで車で乗せてってくれるんだな、とフラフラ立ち上がって、
Yさんに続いてペンションの玄関をくぐろうとした瞬間、 
Yさんが「うわぁっ!!」と大声あげて一歩退いた。 
Yさんが玄関扉を開けた陰から、1mくらいの灰色の肌した裸の坊主頭が、うつむいたまま佇んでる。
そんで、瞬きしたら消えた。 
俺、それを見た数秒後に「うぉぉぉっ!!」と、なぜか時間差で絶叫。尻もちつく。 
「いいから!!いいから!行くぞ!」とYさんは俺を起こして、バンタイプの車の助手席に俺を押し込んで、走り出した。
俺は助手席で、ずっと歯食いしばって目瞑って。まだなんだか熱あるみたいに苦しいもんで。 
でもYさんも息が荒くなってるようだったし、運転しながらすごく緊張しているんだろうことは伝わってきた。 
Yさんにも、俺が見たぐにゃぐにゃとかが見えてたのかもしれない。 

で、ペンション最寄の駅からだいぶ離れた、割と大きい駅に着き、
Yさんがまだ朦朧としてる俺の代わりに切符とかを買ってくれた。 
「すぐに電車乗って、途中で新幹線に乗り換えて帰れよ?大丈夫か?」と俺に切符と荷物を渡す。 
今すぐでも逃げたいもんだから、
俺は「あぁだいじょぶす。あぁあーおつかれさーん!」と酔っ払いの適当な返事みたいのをして、改札を通った。
今になって思えば、ホントにYさんごめん。 

電車がだんだんと距離を走っていくにつれて、気分が少しづつ楽になっていくのがわかったよ。 
でもさっきの恐怖感だけははっきりと記憶に焼きついているし、身体はすごく消耗してるんだけど。 
関東に入る辺りで、「二度とくんな」とか「次来たらゆるさねー」みたいな誰かが怒ってる感じがした。 
頭の中で声がした、とかじゃないんだけど。すごくそう感じた。 
そして、一気に高熱状態みたいなテンパりが消えた。これが不思議だった。 
とにかく、その日のうちに家まで帰ったよ。

後日、Yさんにお詫びの意味も兼ねてLINEでメッセージ送ったら、 
『無事帰れたみたいで良かった。でも、もうあんまりこっちにはこない方がいいかも。』と言っていた。 
なので、そのうちまた、どこかで会って話をしようという話をした。 
俺だってもうあそこには行きたくない。今あの恐怖感を思い出すだけでもブルッとするし。 

祟りとかなんかは知らないけど、今になってイライラしてきてる。でも怖い。
あそこまでするか?って気分になる。でも怖い。 
色々と不思議すぎて、あんなことがあるんだろうか、おかしくなってただけじゃなかろうかという気持ちにもなる。 

話はコレでお終い。


引用元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?314