今年の元旦に、僕は今までの人生で1番怖い体験をした


大晦日に幼馴染みのKと地元の神社で出店を満喫していると、Kが神社の裏手にある山の頂きにぼんやりとした青白い光を見つけた
K「あんな所に山小屋とかあったっけ」
僕「行ったことないし知らない」
K「なぁ、ちょっと行ってみるか」
年が明けるまで時間があるので、僕らは暇つぶしにその光の元まで行ってみる事にした
その山は車1台通れるくらいの道があったので、Kの車で山を登る事にした
光の元まで道があるかどうかは分からなかったけど、近くまで行ければ良いくらいに考えていた
夜中で暗いしそれなりに不気味だったけど、車だし1人じゃないし大丈夫だろうなんてこの時は思ってた

光の元へは、案外すんなり着けた
車で道なりに走って10分くらいの所にそれはあった
光の正体は街灯、しかもその街灯の下には井戸がある
僕「こんな山の中にに1つだけ街灯があって、しかも井戸が照らされてるって不気味だね…」
K「井戸に蓋もしてないし、危ないよなぁ」
車から降りて見てみようかとも思ったけどさすがにちょっと気味が悪くて、僕たちは車を止めて車内から井戸を見ていた

僕「そろそろ帰ろうよ、光の正体も分かったし」
K「そうだな、年も明けちまうし神社戻るか」
3分ほど井戸を見て、車をその場でUターンさせて元きた道を走り出した
K「そういえばこの山って一応地元なのに1度も来た事なかったな、なんでだろうなー」
Kのその一言が、僕はやけに気になった
こんな自然豊かな山格好の遊び場だった筈なのに、Kの言う通り僕らは子どもの頃からたった1度もこの山に入った事がなかった
どうしてだったんだろう、と思考を巡らせようとした時、僕はふと運転席に目をやって絶句した

運転席の横の窓に、髪の長い女が張り付いていた
血だらけの両手と充血した眼球がべたっと窓にくっついている


僕「…K!!絶対横の窓見るな!!」
僕は何故か咄嗟にKにその光景を見せないようにした、多分運転手のKがこれを見て運転出来なくなったらヤバいと考えたんだと思う
恐らく顔面蒼白だったであろう僕の顔を見て異常な空気を察したKは、一瞬戸惑いつつも黙って頷いて猛スピードで山を下りてくれた

幸いにも山を下りるとその女はふっと消えてくれたて、僕たちは賑やかな神社まで戻ってきた
神社に着いて早々にKに何を見たのか聞かれ、ありのまま見たものを話した
K「よく咄嗟に俺にそれを見せまいとしてくれたな、サンキュー」
僕「山を下りるまで車の中に入ってくるんじゃないかって気が気じゃなかったよ…」
K「…なぁ、お前気づいてた??」
Kのその言葉にキョトンとしていると、Kが話し始めた

僕があの女を見た直後、Kはとにかく早く山を下りようと猛スピードで車を走らせた
行きで10分しかかからなかったんだから、スピードを出せば下りるのは半分の時間くらいで済むはずだ
なのに一向に山から下りられない、10分走っても20分走ってもまだ山道は続いてる
道を間違えたかとも思ったけど一本道だから間違える訳が無い、焦りつつも更にスピードを上げて、30分程走ってようやく山から出られたそうだ

僕はそんな事には一切気づいていなかった
でもそれは明らかにおかしい
K「このまま一生山から下りられないんじゃないかってマジで焦った、本当良かった」
僕「僕…その女が窓にくっついてから消えるまで目を逸らせなかった、僕は30分もあの女を見てたって事…?」
僕にとってあの女が現れてから山を下りるまでの時間は短く感じたけど、Kはあの女が現れてから30分も山をさ迷ってた…
こんな不思議な事があるのか

気がつけばとっくに年は明けていて、僕たちは呆然と新年を迎えた


後日僕は思い出したんだ、あの山に今まで1度も入らなかった理由を
あの山では昔何故か人が『行方不明』になる事件が相次いでいた、だから迷って出て来れなくなったら困ると親や学校の先生から厳しく言われていたんだ
そんな事すっかり忘れていたけど一本道の山で何故迷ってしまうのか、そして『行方不明』になってしまうのか…

今回僕が見たものは、そしてKが体験したものは何だったのかは未だに分からない
でも1つだけ確かな事は僕たちもあの山で『行方不明』になるかもしれなかった事
そして僕はあの山に2度と近づかない事だ


投稿者: カオナシ