以前勤めてた会社で、九州に出張行ったときのことなんだけど、
泊まってたホテルの近くの繁華街に、夕食を兼ねて一人で飲みに出かけたんよ。
で、その帰り。
ほどほどに酔っ払ったから、ホテルに帰ろうとタクシー拾って、
2~3分乗ったところでおかしなことに気づいた。
なんかタクシーの運転手が、ずっと小声でブツブツ言ってるのね。
最初はこっちに話しかけてるのかなと思ったんだけど、面倒だから聞き流してた。

でもよく聞いてみると、どうも独り言で訳のわからないこと言ってる。
よく覚えてないんだけど、
なんか「階段を上がったら危ない」だとか、「電池が切れるから直進(?)する」とか。
すまん、自分が説明するとなんか意味ありげだけど、本当に意味不明の内容だったんだ。
そんなんだから、うわーこの運転手ソッチ系の病気の人だよとか思いながら、
でも乗っちゃったし、とりあえず道も間違えてないようだったから、そのまま乗ってた。

そんなに遠いところじゃなかったから、ホテルにもすぐ到着。
お金を払う段階で変な対応されたらどうしよう、とか思ってたけど、
そのときだけは何事もなかったかのように、正常な人と変わらないやり取りだった。
ちょっとまじまじと顔を見ちゃったけど、いたって普通だったし。

タクシーから俺が降りると、そのままタクシーはドアを閉めて走っていったんだけど、
ヤバいことに気づいたのはそのとき。
ウィンドウごしにタクシーの中を見ると、さっきまで俺が座ってた横(つまり運転席の真後ろの後部座席)に、
中年の女の人が乗ってるんだ。
さっきまで俺しか乗ってなかったんだから、誰もいるはずないのに。
なんか主婦が久々のお出かけのために似合ってないスーツ着た、って感じの格好だった。
顔はすごい無表情。
そいつがずっと、運転席の方を向いたまま座ってたんだ。
一気に酔いが冷めて鳥肌立った。

怖くて、その日は電気つけっぱなしで風呂にも入らず寝たけど、結局その後はなにもなかった。
でも、未だにあれがなんだったのか分からない。


転載元:死ぬ程洒落にならない怖い話を集めてみない?270