レッカーの仕事、スーパーエースの話②です。
これ、マジでリアルタイムで暇なときに書いてるので、たまにQA入れますけども、もし読んでくれてる人で質問あれば佐藤君に聞いてみますのでコメントにでも書いて下さい(笑)
ただ、中傷的だったり俺の判断でこれは聞けないと思った質問は勝手にスルーしますけどね。


今回の話は、彼がフトン屋3年目くらいの頃の話。
とある一軒家で、家主が部屋で首吊り自殺していて、女房子供は別居のため死後1ヶ月以上発見されずにいた物件だって。
佐藤君は見積りの見習い中で、先輩と一緒にその家に向かった。
まだ警察が死体を片付けたばかりで、死体が吊り下がっていたであろう場所は、赤黒い危険な液体が溜まっていたみたい。
警察って、意外と横着と言うか大胆と言うか適当と言うか(笑)死体の、例えば肉片とか衣服の一部とか、最悪骨の一部とか少し残ってても、全部なんて取りきれないから後ヨロシクね!ってなもんだそうです。
この時は昼間に行ったようで、そういった死体の残骸もモロに目に入る訳ですよ。幽霊何かより死体の方がよっぽど怖い、と佐藤君。

先輩が色々と説明しながら、見積書を作成しつつ家の中を歩き回る。
別居の奥さんが依頼人なんだけど、もうそこには住まないし、自分たちの物はほぼない。自殺した旦那はご両親も既に他界されているので、もう家の中の物は全部処分して欲しいとのことだそうで、特殊清掃というよりもはや引っ越しに近かったらしいです。
先輩が金額をざっくり書き入れ、「お~、結構な金額だなぁ」なんて思いながら、2階の一番奥の部屋の前にたどり着いた時、佐藤君そこから一歩も動けなくなったそうです。

その部屋は襖だったから和室だということは分かる。その襖の隙間から、真っ黒な霧と言うか靄みたいなものが漏れ出している。
これはちょっと尋常じゃねーなと佐藤君思ったものの、先輩が襖を開けてしまった。
その瞬間、佐藤君には真っ黒な靄がオカッパ頭の女の子の顔になったように見えたようです。その顔が、ブワッと彼の体をすり抜けて消えると、やっと体が動くようになったらしいんだけど、とにかく怖いという気持ちしか湧いてこない。慣れっこの彼には珍しいことだそうで。

先輩に呼ばれ、恐る恐る部屋に入った佐藤君は、部屋の真っ正面の押し入れから例の黒い靄が出ているのを改めて確認。
自分で開けるのは嫌なので、先輩が開けるのを待った。ところがこの先輩、部屋に入るのは平気だったから、多分霊感殆どないはずなんだけど、この押し入れを開けるのをためらったようです。それくらい、0感の人でも感じるくらいヤバイ代物が、その中にある。
押し入れは、上段には布団類が、下段には小物など箱が幾つも入っていて、靄は下段の奥の奥から出ているようだった。
とりあえず、この日は見積りだけなので、特に何もせずに帰路に着いたそうです。

翌日。見積書に会社の印をもらい、依頼人に連絡する予定なんだけど、その大事な日に先輩が来ない。聞けば、大熱ぶっこいて倒れたそうで、入院中だと。
仕方なく、まあやり方は分かるので(人もいなかったので)佐藤君がそのまま引き継ぐ形で事を進めることになったようです。3日後に作業開始も決定し、段取りを始めました。
結局その先輩は、作業が終わるまで約1ヶ月ずっと入院したそうです。原因は不明、ひたすら熱が引かないという病気。佐藤君曰く、あの黒いのにやられたね、だそうです(笑)

Q 動けなくなるってのは金縛りになったってこと?あと気配とか、黒いのがとか、どう見えてんの?
A 金縛りじゃなくて、本能的に今動いちゃダメだ、とか、進んじゃダメだって体が反応してる感じすね。気配とかは、その時で違うんだけど、家全体がもうヤバイ時もあるし、これみたいに場所とか物限定でヤバイ時もある。見え方は(笑)難しいな表現。人や物は、回りを囲むように霧みたいなのがかかって見える事が多いかな?ハッキリもう1人隣にいるみたいに見える時もあるし。色は、ヤバイほど黒いの。写真とか、赤いのヤバイって言うでしょ?あれも確かに怒ってること多いからヤバイけど、マジヤバイのは真っ黒。

3日後、再び件の家を訪れた佐藤君は、例の部屋は嫌だから(笑)バイトや他の社員にお願いして、自分は死体のあった部屋の処置をしていたそうです。
暫く作業して一段落した頃、2階から箱詰めされた物が搬出され出した。それを何となく見ていた佐藤君でしたが、ただならぬ空気と黒い靄に反応して、ある箱を持って降りたバイトを止めた。
他にも数人が寄ってきて、中には霊感あるヤツもいたらしく、箱の時点で「それヤバイ!」と吠えたようです。

中を見た?とバイト君に聞くと、見てませんとの返事。どうしようかと迷ったものの、確認した方がいいだろうな、と思った佐藤君は、その箱を開けてみた。
箱を開けた瞬間、オカッパの女の子が目に入る。古い市松人形。ただ、体にお札がベタベタベタベタ、全部で15枚貼ってあったそうです。
物凄い後悔の念にかられたみたい。やっぱり見るんじゃなかった、と。
どういう曰くがあるかとか、経歴も何も分からないけど、これは関わっちゃダメな物だった。恐らく、自分にも何かしら来るだろうし、触ったバイト君も何かあるだろうなと思ったそうです。
実際に、そのバイト君は夜な夜な人形の夢を見て(内容は長くなるので割愛)、寝るのが怖いと言って鬱みたいになったらしい。

その人形は、廃棄には回さず会社が懇意にしている霊能者的な人のところに持って行くように段取りし、とりあえず会社の倉庫に保管。
ところがその日から、夜中にその人形が佐藤君の所に現れるようになった。やっぱりな、と思ったがもう仕方ない。

夜中、寝ているとパッと目が覚める。時間は決まって2時半。
当時佐藤君は、ワンルームのボロアパートの2階のカド部屋に住んでいた。外階段は鉄製のありがちな階段で、誰がが登り降りするとすぐ分かる。
その階段を、コツンコツンと歩く音が聞こえる。音が軽い。でも確実に足音だと分かる。
足音は階段を登りきると、自分の部屋に真っ直ぐ近寄ってくる。
部屋の前で足音が止まる。すると、ドアをノックする音がする。
暫くノックが続き、放置していると鍵が掛かっているはずなのにドアが開く。バタンと言うドアの閉まる音がして、その音はダイニングをパタパタ歩き回る音に変わる。
間もなく、すりガラスの引き戸がゆっくり開き、隙間から人形が姿を現す。
髪は本当に外を歩いてきたかのようにボサボサ、口許は心なしか開いて見える。着物を着た体には、お札が付いたままの状態。
人形はやがてゆっくり佐藤君に近寄って、ベッドを登り布団越しに胸元に立って彼の顔を見下ろす。
見つめ合う目が深い穴のように暗く、吸い込まれそう。すると、人形が男とも女ともつかない低い声で「家に戻せ」と言ったところで気がつくと朝になっている、と佐藤君は話してくれました。

夜中に目が覚めた感覚は確かにある。でも気がつくと朝で、どこから現実か夢か分からないと。全部夢かも知れないし。
ただ、過去にここまで幽霊とかその類いのモノにいいようにされたのは初めてだそうです。祓ったりは出来ないけど、ほぼ実害らしいものは食らわないという彼の能力の上をいくモノだったと言うことなんでしょうか。

頭に来て、何度か寝ないでいたこともあったそうですが、どんな体勢でいても気づいたら朝で、体勢はそのまま。
休み前で外で友達と飲んでいても、まるで周りには誰もいなくなったように人形と自分だけになり、「家に戻せ」と言われ、気づいたら朝。友達に聞くと、突然倒れるように寝て、何をどうしても起きないから仕方ないから家に連れてきた、と言われたそうです。

最終的に、その人形は近畿地方にある有名な人形供養のお寺に預けて供養してもらったそうですが、会社で頼んだ霊能者の方は、これは私には無理だと言ったらしいです(笑)
あぁ、ありゃ無理だと佐藤君も納得してたようで、いよいよヤバそうなら自分でどっかに持っていこうと思ってたと。
そのお寺に持って行くまでの約2週間、毎日来たそうです。

Q よく耐えれるよね(笑)
A いや、かなり限界でしたよ。子供の頃以来、久し振りに怖かったし。行くとこ行ってくれたから良かったけど、もう少ししたらもっとヤバイことになってたと思う。

Q お祓いできるようになった方がいいんじゃないの?
A 思わなくはないけど。婆さんにも言われたし。でも修行とかマジ無理。だから出来なくていいんです。

人形の曰くも、自殺した家主さんが何故持っていたのかも、死んだのがそのせいなのかも、何もかも分からないままです。
俺は(皆さんもかな)知りたいと思うんだけど、佐藤君は知りたくもないし、知らない方が絶対いいと言います。
そこが見える人との違いなんでしょうかね?


投稿者:TR