12月の終わり頃、夕方5時半でもあたりはすっかり暗く、身体を芯から冷やすほど寒い。

俺は震えながら自転車に乗ってバイトから帰っていた。

バイト先から、住んでいるマンションまでは自転車で約20分。

もう坂を登ればマンションに付く、というところで俺はゾッとするものを見た。

その坂の少し前に、神社に繋がる階段があるんだ。

別にその神社で何かが出るとかは全く聞いたことがないが、夜は灯りが全くなく木々に囲まれている事もあり、とても不気味で、ひとりで通るにはそれなりの勇気がいる。(俺がチキンなだけかもしれない)

帰り道の都合上、俺はその階段の横を通ることになるんだが、ふっと階段の方に目をやると、暗闇に紛れて何かがいることに気づいた。

ほんの一瞬しか見てないのだが、俺にはとても気味の悪い物に見えた。

皆は「虚無僧」って知ってるだろうか。

頭をまるごと覆うような笠を被り、黒っぽい無地の服を着て尺八を持ってる僧のことだ。

雰囲気がそれにとても近かったんだが、何かがおかしかった。

具体的には、袖がめちゃくちゃ長かった(腕を伸ばしきっていて、脛に届くほど)ことと、虚無僧が被っている笠とは違い、何か真っ白な物を被っているように見えたんだ。そしてもう一つ、足音が異様に大きかった。

当然、暗闇のなかで一瞬しか見ていないので、脳内で勝手に補足してしまった部分もあるかもしれない。

が、何だかとてつもない恐怖心に襲われた俺は自転車を飛ばし、いつもは自転車を降りて登っている坂を全力で登りきった。

振り向かないようにしてマンションの駐輪場に自転車を停めて、エレベーターに乗って住んでいる5階まで急いだ。

鍵を取り出して鍵穴に刺して左に回すと何故か、空回りした。

「えっ...」バイトに行く前に鍵は絶対に閉めたはずだ。しっかり覚えている。母親の車も無かったので、中に母はいないはずだ。

恐る恐るドアを開けると、俺が点けることはまずない、キッチンについている小さな電灯が何故か点っていることに気付いた。

この時点で心臓バクバクだったが、外にいても仕方ないし怖いのでとりあえず入って、足早にリビングの電気とテレビを点け、こたつに潜った。

まぁこれ以上は特にオチも何もないんだけど、俺としてはとても怖かったので一応。長文失礼した。


投稿者: 名無しSUN