これは私が高2の春の話。

私の母は青森県出身。

そして母の父(祖父)は数年前に胃ガンを患い、胃を全摘出していた。
そのうちまた体調が悪くなり、母の兄弟の枕元に祖父が立って、兄弟は慌てて青森の実家へ向かった。

母以外の兄弟みんなの枕元に立ったのに何故か母の所だけ来なくて…。母は私の所に来てないからまだお祖父ちゃんは大丈夫なんて言いながら少し寂しそうだった。

我が家も急いで青森に向かったけど、祖父は亡くなってしまった。

高2だった私は近い親族のお葬式は初めてだった。

地域性なのか少し不思議なお葬式だった。

女性は頭から白い布を被り、男性は後ろの襟元に小さい白い布を挟む。

そしていきなり火葬場へ。

焼かれて遺骨が骨壷に入り祭壇に置かれ葬儀が始まった。

親族の席の両脇にはお供え物があって、缶詰や食べ物等が沢山置かれていた。

このお供え物は祖父の為に祖父と付き合いのあった方が出してくれている物で(親族も出す)香典返しなどの為に記録として、このお供え物などの写真を沢山撮った。

祭壇等も沢山写真を撮っていて、祖父の気配を感じていた私はそんなに撮ったら……と。

通夜、お葬式が終わったのだけれど、青森県の中のさらに田舎で、何度も集まるのは大変という事で初七日まで行って帰る事になった。

小さい頃は従兄と裏山で走り回って遊んでいたけど、高2になってそんなこともせず、かといってお祖父ちゃんの亡くなっての帰省なので何処かに遊びに行けるわけでもなく、初七日までの時間をもて余していた。

農家の機材が1階にあり、2階が2部屋ある離れで本を読みのんびりしていた。
ふと横になり両手を万歳した状態でのびをした。

その瞬間全身が金縛りに…。

1階から木の階段を …トン … トン … トン と誰かが上ってくる。

全身一気に冷や汗が出る。

お祖父ちゃんだったら嬉しかったかもしれないが それは 違う誰かだった。

あまりの恐怖に目をぎゅっと閉じて 私は寝ていて夢なんだと思いたかった。

でもそれはどんどん近づいてくる。

トン … トン … トン …

階段から部屋に入る引き戸は開けたままだ。

ついに それは 部屋の中へ入ってきた。

ゆっくり、ゆっくりと私に近づいてくる。

私の横に立ったかとおもうと、私の体の周りをゆっくり歩き始めた。

ゆっくり…ゆっくり。

私の頭の上で それは歩みを止めた。


次の瞬間 ぎゅっと 私の万歳したままの
両手首を強く強く握った。

痛い!!


と思った瞬間金縛りが解けて、それと同時に1階から階段を上る音が。

トントントンと叔父(母の弟 )が部屋に入ってきた。

叔父の顔を見たら涙が溢れて止まらなかった。

ビックリしている叔父に今の出来事を話してふと見ると、両手首に強く握られた跡が赤く残っていた。

叔父は私を優しくなだめてくれて、涙がひいてから母屋まで一緒に行ってくれた。

祖父が亡くなった時にみんなにこんな話をするのはよくないと言われ、叔父以外には話さなかった。

次の日にその叔父の息子が同じ離れの2階で金縛りに会い、やはり体の周りをぐるぐる回られたそうだったので理由は言わず離れは立ち入り禁止になった。

初七日の頃、葬儀の写真が出来上がり母達が整理しようとテーブルに写真を広げると、そこには祖父が沢山写っていた。

私が見たのは生前と変わらない優しい表情の祖父だったが、祖父に気が付いた母達は何故か直ぐに写真をしまって見せてはくれなかった。

離れの2階で腕を掴んだのは誰だったのか…
今だに離れには怖くて近寄りたくない。


今回もお読みいただきありがとうございました。



投稿者:Yちゃん