レッカーの仕事、スーパーエースの話⑪です。

今回は、佐藤君が中学二年の秋、つまりお婆さんが亡くなって親戚に引き取られた関係で転校した直後の話。
この話と、その他数件の事件から、佐藤君は転校先でもやっぱり変なヤツと思われてしまったそうです。

Q 幽霊を家来にすることはできますか?

A 意味合いによるけど、元々主従関係だったなら、できるっちゃできるかも。見ず知らずだったら、かなり厳しいと思いますが。ただね、命令してアレやれコレやれって言っても何もしないすよ、きっと(笑)想像するような家来にはなりません、多分。

Q 佐藤君は、自分以外に憑いている霊が、その人に話しかけている言葉など聞こえたりしたことありますか?

A ありますよ。普通に聞こえます。っても、ずっと話しかけている訳でもないので、普段はただくっついて歩いてるだけです。
今まで見た中で一番酷いのは、首つりしてロクロ首みないになった化け物霊が、中年のおばさんに憑いてて、呪文のように自殺しろと言ってました。

Q もし事故とかにあって弱っている動物を見て、可哀想だとか中途半端に言ってしまうと憑かれてしまうかも知れないと聞いたことがありますが、本当ですか?
もし子供が弱っている動物を見かけたら、無闇に触らないよう言っておくべきでしょうか?

A あ~、コレねぇ。確かに優しい人に霊は寄り付きますが、全部が全部じゃないし、死んだり弱っている動物見て、可哀想って思わないのも難しいでしょ。憑かれるのは、可哀想って思ったからじゃない。単にその霊がその人を見て、「助けてくれそう」と思うかどうかなので、気にしても仕方ないですよ。
子供さんは、性格とか気持ちのこと考えたら、弱っている動物を助ける精神は育ててあげたいですよね。衛生的にはちょっと問題ですけど。でも、動物は弱肉強食、自然淘汰の生態系の世界で生きてます。人間が手を出すのはあまりオススメしませんが、判断はお任せします(笑)

Q 赤ちゃんとかって、大人に見えない何かが見えるって言うじゃないですか?ウチの子供が、しょっちゅう天井に向かって手を振ってるんですが、何かしらいるのでしょうか?

A これTRさんの姪っ子と同じじゃん(笑)赤ちゃんは、詳しくは分かりませんが、色んな条件でシミや埃や影を生物に見立てるみたいなので、ほとんどの場合何もいません(笑)でもたまに、ホントに見えてる時はあります。簡単に判断したかったら、赤ちゃんの興味を引くものを近くに置いてみる。まだ飽きるには早いだろって頃に、それを差し置いてすぐに天井に手を振ってるようなら、多分何かしらいます(笑)
(ちなみにウチの姪っ子は見えてませんでした)

Q 人は生まれ変わるということはあるのでしょうか?

A 全く分かりません(笑)コレ、分かる人いないでしょ?宗教では輪廻転生って言うけど、実際にどうかってのはねぇ。生まれ変わらないと、霊で溢れるとかって考えてる人も多いでしょうが、霊ってそんな人間的な存在じゃないから。質量ないんで(笑)

Q TRさんと佐藤君の好きな食べ物何ですか?

A 俺は肉です。(TRはバニラアイス)

Q 霊は水中を歩けますか?

A 歩けると思います。プールで足だけの幽霊が歩いてるの見たから。海外まで歩くんですか?(笑)遠いすよ、頑張ってね(笑)

Q 佐藤君の好みのタイプの顔の幽霊に会ったことありますか?

A あ~、どうだろ?気にしたことない(笑)ただ、皆さんどう思ってるか分かりませんが、生きてる人間と同じように思わない方がいいですよ。化け物や血まみれ、損傷あり、腐ってる、膨らんでる、あんまりマトモじゃないです、ハイ。

Q 今はTVや特にネット動画に沢山の心霊動画がありますが、真贋も含めどのような見解でしょうか?

A これ、言っちゃっていいかな?(笑)95%くらい偽物ですよ。たまに本物あるけど。よく出来てんな~って思うけど、本物からにじみ出る違和感は作れないみたいです。


さてさて
TRが中学生の頃は、転校生はヤンキーに呼び出される仕組みでしたが、数年経った佐藤君の世代では、そんな事もなかったようで。転校初日に友達になれた数人と、楽しく帰っていました。
慣れない街並み。道もままならない佐藤君は、毎日違う道を違う友達と帰り、転校生の立場を楽しんでいたようです。

そんな中でひと月も経つと、佐藤君はあるグループの一員になっていました。A、B、C、D、Eと佐藤君の6人のグループ。今でも付き合いのある数名も、この中にいるそうです。今までマトモな友達のいなかった佐藤君にしてみれば、嬉しくて仕方なかったでしょう。

冬休みも間近に迫ったある日曜日、佐藤君はいつものメンバーと遊ぶため、自転車で出かけました。たまり場であるA君の家に行くには、住宅街を突っ切るのが早いのですが、早めに家を出てしまったこともあり、たまたまこの日は住宅街を大きく迂回する道を選んだようです。

住宅街を迂回すると、右手は雑木林が広がり、たまに丘のような斜面があり、田舎とは言わないまでもまだ多少の自然が残る。
天気もよく、鼻歌を歌いながら自転車をこぐ佐藤君。しばらく行くと、雑木林の中に建物があるのに気がつき自転車を止めました。
何か不自然な感じがする赤い屋根、生活を感じさせないひび割れた壁。
自転車を降りて枯れ葉を踏みしめながら進むと、そこには一軒の廃屋がたたずんでいた。
崩れてはいるがブロック塀で囲われ、門には壊れた鉄の格子戸。鍵はかかっていない。
林の中に家へと続く道はなく、かなりの間放置された家だということが分かる。

佐藤君が格子戸に手を掛ける。瞬間、ゾクッとする悪寒と視線を感じて見上げた2階の窓。破れ落ちたカーテンの隙間から、30代くらいだろうか、男の人が睨むように覗いていたそうです。
ハッと我に返った佐藤君は、怖くなり走って自転車まで戻りました。

A君の家に着くと、佐藤君は最後だったようで、全員集まりスーパーファミコン大会。ある者は寝転んでマンガを読み、有りがちな中学生の休日。
遊びも一段落ついた頃、何気なく佐藤君が雑木林の中の廃屋の話を切り出すと、皆その存在は知っているようで、あそこはヤバいとか、先輩が中に入って幽霊を見ただのと始まった。そして、当然の成り行きで今から行こう、となったわけで。
実際に、廃屋があるのは知っているが、誰も入ったことはない。いざ廃屋の前に立つと、昼だというのに薄暗いその雰囲気にしり込みしだす。

当時の佐藤君は、今ほど幽霊慣れしていないので、怖さはあったようです。そして、自分の鉄壁防御も理解できていない。でも、幽霊は何度も見ているし、何よりこの日は1人ではないことが、佐藤君に余裕を持たせた。
先頭をきって中に入る佐藤君。玄関のドアには鍵がかかっていた。6人で裏に回ると、縁側のような場所に出た。ベンチのような長い木の台と、大きなガラス窓。窓は土埃や苔で透明ではなくなっていて中は見えない。
ガラス戸を引いてみると、ガタガタ言うが開かない。鍵はかかっていないみたい。
佐藤君がモタモタしているのを見かねたのか、A君とB君がガラスに手を掛けた。しばらくガタガタやっていると、急にガラス戸が外れて倒れた。割れるガラス。

ヤバい、壊した、と騒ぐ一行。ガラス戸の先は居間のよう。家財道具はほとんどないが、座布団であっただろう物体が散乱していた。
ワイワイ騒がしく家に上がる。
佐藤君は、家に入った瞬間に「帰れ」と言われたそうです。それは、2階の窓に見た男の人だろうと。
1階には、他に台所と風呂にトイレ、和室がひと部屋あった。和室の押し入れに違和感を感じた佐藤君。佐藤君が開けるな、と言うとほぼ同時に、C君が襖を開けてしまった。ガランとした押し入れ。
「うわぁ!」と声を出して部屋から逃げ出したのは2人だけ。佐藤君とD君。
押し入れの上段に、小さいシワシワのお婆さんが正座して座っていたそうです。顔はニコニコしているが、目が笑っていない。
2人が逃げ出したことで、残りの4人も焦って部屋を出た。
「何だよ、何があった!」と詰め寄る4人。佐藤君は今見たものを説明した。頷くD君。D君は霊感があるようで、もう帰りたいと言い出した。

だがそこは中学生。ビビっただの言われるとむきになるうえ、仲間外れにされるのも嫌だから着いていくしか道はない。佐藤君はD君に、逃げる準備だけしとけと言うと、2階への階段に足をかけた。
強くなる違和感。恐らく、今見れば黒い靄が見えるのでしょう。この頃はまだ、そこまで明確に見えていない佐藤君。若いって怖いね(笑)と言ってましたが。
2階に上がると、とにかく「帰れ」「来るな」と言う声が強くなる。D君と、やはり少しだけ霊感のあるE君には、声が聞こえるようで、何か声がすると言い出した。
帰れって言ってると解説する佐藤君。A、B、C君には全く聞こえないため、嘘つけ、ビビらせようとすんなと言われたようです。
もう、行くしかないなと思った佐藤君は、声のする部屋のドアを開けた。

部屋にはやはり家財道具はほとんどなし。古い腐りかけたベッドがど真中にポツンと1つ。
A、B、C君は既に部屋の中に入っていて、D、E君は入室拒否。佐藤君が恐る恐る部屋に入る。ぐるりと見回すが男の人はいない。
「何もないじゃん」とA君がベッドを蹴った瞬間、「ぎゃあぁ!」と、耳を塞ぎたくなるほど一際大きな悲鳴が聞こえて、ドアが凄い勢いで閉まった。
その場にいた全員がパニック状態。D、E君が階段をかけ下りる音が聞こえるとA、B、C君が閉まったドアに群がる。ところが、鍵などないはずなのにビクともしない。
「開かねーよ!」とさらにパニくる3人。ハッと見ると、ベッドの上に男が浮いている。白っぽいワイシャツを着ていて、胸元に血がベットリ。その時、佐藤君の頭の中に、色んな情景が流れ混んできたようです。
どうやら、その男の人はそのベッドの上で殺されてるようです。胸を何度もナイフだか包丁だかで刺されているのが見えたらしい。

さすがに怖くなった佐藤君は、早く出ないとマズイと思い、3人に落ち着いてゆっくり開けてと言った。言われるままにゆっくりとドアを開けると、嘘のようにドアが開く。瞬間的に駆け出す3人。
佐藤君も急いで部屋を出ようとすると、男に肩を掴まれた。ヤバい、と思うが、体が動かない。金縛りのようで、成す術がない。
男の腕が佐藤君の首に巻き付いて、顔が耳元まで近づくと「帰れって言ったのに」と言われたそうです。
男は、佐藤君に入ろうと徐々に重なっていく。すると、まるで磁石が反発するかのように男が佐藤君から離れた。その瞬間、体が動くことに気付いた佐藤君は、ダッシュで部屋を出て階段を駆け下りて家を出た。外で待っていた5人に「もっと離れろ」と言いながら、止まりもせず雑木林から走り出た。
5人も慌ててて雑木林から出て、誰も何も言わないままA君の家まで自転車を走らせた。

A君の家で少し落ち着いた6人は、何があったかをそれぞれ確かめあった。
まずD君は、1階の押し入れでお婆さんを見た。2階では何を言ってるかは分からないが男の声を聞き、ドアが閉まったあとは怖くなり逃げ出した。
E君は、2階ではやはり声を聞き、ドアが閉まったあとはD君に続いて逃げ出した。
問題の3人は、「ぎゃあぁ!」という声は聞いたが男は見えていない。ただ、ドアは開かなかったし、開いたあとは必死に逃げたから何も覚えていない。
佐藤君が、自分が見えることも含め、あったことを話すと、納得する反面で佐藤君=ヤバいヤツの構図もできてしまったみたい。

結局、件の廃屋は、もう20年は放置されたままで、実際に殺人があったかどうかは分からないということです。ただ、D君の親がうっすらと「そういえば、昔…」と近くで殺人事件があったことは思い出したが、その廃屋かどうかはやはり定かではないようです。
押し入れのお婆さんも謎のまま。でも、とてもじゃないけど真相なんて調べる気にもならなかったし、今となってはどうでもいいと佐藤君は言ってした。



投稿者:TR