レッカーの仕事、聞いた話⑧です。
何か聞いた話は久しぶりですね(笑)ずっと佐藤君の話だったので。なので、残念ですが今回は佐藤君登場しません。

先日、仕事関係ではなくプライベートの後輩から聞いた話。後輩はAとしときます。

Aは、建築関係の仕事をしていて、最近ではリフォームの現場監督がメイン。
2ヶ月ほど前、ある家からリフォームの依頼があり、打ち合わせと下見のために現地に行ったそうです。

少し街から離れた(といっても、んな田舎ではない)昔からの家が多い地区で、その家もかなり古い大きな家だったようです。

聞けば、江戸時代後期に建てられたそうで、何度か増改築をしているのだが、今回は母屋の内装を新しくしたいということでした。

台所をシステムキッチンにして、収納を増やし、リビングを広げるなど、要望が多くてかなり大掛かりになり、金額もいい額。
大まかな話はまとまったので、家の中を見せてもらったそうです。

家の中を見ているうちに、Aは不審点に気がついたようです。
まあ、増改築を繰り返していると言っていたので、そのせいだろうとは思ったそうなんですが、現状の居間と台所の間の壁が妙に広すぎる。
裏に回ってみると登り階段があり、作り的におかしい。確実にデッドスペースがありそう。

家主に聞くと、自分が知る限りではこの辺りは改築などはしていないが、昔にはやったのかも知れないとの返事。
取り合えず、収納を増やすためには階段下のスペースは活用したいので、壁をぶち抜いて広げる構想に入れたそうです。

その後、写真やら間取り図などを持ち帰り、設計士に図面をひいてもらい、いよいよ着工となりました。

3日目くらいに、例の階段下のデッドスペースあたりに手が入ることになり、気になっていたAは立ち会ったそうです。
古い家なので、もしかしたら隠し部屋とか金庫が出てくるんじゃないかと期待したみたい。実際、そういう例もあったようです。

システムキッチンとの兼ね合いで、排水管を取り替えたりもあるので、床下も手を入れなくてはならなかった。
面倒だから、この一帯は一気にやってしまおうということになり、床板や壁を取り除く作業を始めたそうです。

暫くすると作業員がAを呼ぶ。行ってみると、壁を取り除いたら、登り階段のしたのデッドスペースに小部屋があったそうです。
んで、その小部屋には壁一面にお経のような筆で書いた文字がビッシリ。
さらに部屋の床板が、明らかに素人がやったであろうことが分かるくらい下手くそに板が打ち付けられている。

かなり異様な情景に怯んで、家主を呼ぶことに。家主もそれを見て、こんな部屋があったのは初めて知ったと。
板を剥がしてみるか?と聞くと、やってくれとのことで、その下手くそに打ち付けられている板を全部取っ払ったそうです。

板の下から出てきたのは下りの階段。中は真っ暗。入るのにはかなり勇気がいるような雰囲気だったみたいで、誰も入りたがらない。家主でさえ尻込みしたそうです。
取り合えず中を確認しないとってことで、作業用のライトを持ったAが先頭に立ち、家主が後に続き2人で階段を降りました。

カビ臭さが鼻をつく。妙にジメジメして狭い。階段を降りきると、少し屈まなければ立てないほどの低さのスペースに出た。
「天井が低いですね」とAが言いながら、辺りをライトで照らすと、突き当たりに何か木でできた枠の様なものが見えた。近づくと、格子になっていて、まるで牢屋。中には着物のような布きれがあるが、死体やら白骨やらはさすがになかったようです。

その瞬間、家主が思い出したかのように言ったそうです。
「子供の頃、昔は座敷牢があったと聞いた覚えがある」
まあ、間違いなくここがそうなんでしょう、ということになり、何となく雰囲気も嫌な感じだったので、取り合えず出ましょうと2人とも上に戻りました。

図面上は、当然下の部屋はなかったのだか、場所的には排水管やガス管なども問題ないし、何よりもったいないので、倉庫に作り直して使いますか?と提案したところ、お願いしますとの返事だったので、会社に戻り翌日分から間取りの測量等を作業予定に組み込んだそうです。

ところが、翌日の明け方5時頃、家主からの電話で叩き起こされたA。
寝ぼけていたせいもあるが、何を言っているのか分からないくらい取り乱している。取り合えずすぐに行きますから、と落ち着かせ、現場に向かいました。

家主が言うには、寝ていると(工事中は家族は敷地内の離れで生活していた)母屋から猫のような赤ん坊のような妙な鳴き声が聞こえた。これは、妻も聞いている。
座敷牢のこともあり、何か妙な胸騒ぎがしたので、念のためと母屋に行ってみた。玄関に入り、電気のスイッチを入れたが何故か点かないので、工事の関係でブレーカーを落としたんだと思い、暗い中を歩いてブレーカーまで行った。
ブレーカーは台所の勝手口の上。手探りでブレーカーに触ると、落ちていない。
おかしいなぁと思っていると、真後ろで「ふぎゃあぁぁ!」と例の猫とも赤ん坊ともつかない鳴き声がした。ビックリして振り向くと、そこには女が立っていた。
江戸時代風の成りだが、結った髪の毛は乱れ、着物は着崩れ、目の焦点が合っていない。乱れた自分の髪をムシャムシャ食べていた。
あまりのショックに固まって動けないでいた家主。女はハッと何かに気づいたかのように家主を見ると、ニヤリと笑い「ふぎゃあぁぁ!」と叫ぶと、すごい早さで例の階段を駆け降りて行ったそうです。

あの階段の下のスペースは、とてもじゃないが使えないから、そのまま塞いでくれと言われたAは、素直に従いました。
怖がる家主の見ている目の前で、即席ながら板を打ち付けて階段を隠したA。今はこれしかできないけど、今日中にちゃんと床板を張り直します。壁も、できる限り早く作り直しますね、と約束して、その場を何とか収めたそうです。

ところがところが、その日から作業中に変なことか起こりだした。
例の階段は、約束通りその日のうちに床板を張った。が、下から誰かがノックするように床板を叩いている。これは、Aも聞いたそうです。
また、システムキッチンがほぼ完成した頃、勝手口のドアから着物を着た女が出ていく後ろ姿を何人もが目撃したようです。

家主が怖がるから黙ってろ、と箝口令をひいたAは、予定より早い日数で仕上げて、早々に現場を終わらせたそうです。手抜きはしてません、とは言ってましたが(笑)

その後どうなったかは知らないけど、何か封印解いちゃったみたいで後味が悪いですよ、とAは言ってました。
古い家をリフォームしたり解体したりすると、たまに変な物が出てきたり、時には隠し部屋があったりはするそうです。そういう家は大体、家の中を見回すと間取りがおかしいらしいですよ。
あなたの家は大丈夫ですか?



投稿者:TR