私が小学校4年生の頃の話です。

私は当時、父親の仕事の関係である田舎の町に1年半ほど住んでいました。小学生という事もあり、外から来た転校生という事でかる~いイジメに遭っていました。

その中で1人のいじめっ子が
「お前、俺達と仲良くしたかったら『狐狗狸(こっくり)山』に登ってみろ!!」
なんて笑いながら言うんです。
「こっくり山?」
なんて自分が疑問に思っていると、そのいじめっ子はこっくり山について話を始めました。

よく有名な儀式にこっくりさんって話があるけど、漢字で書くと「狐狗狸」って書いたりする。狐とかそういう言い伝えがたくさんあるような動物の強い霊が、こっくりさんで降霊したりするらしいです。(詳細は不明だが)。そんな強くて悪い動物霊がたくさん集まるって言われてる山で、その山の中にある小さな祠の近くで、音を立てると恐ろしい目に遭うらしいのです。
狐狗狸山っていうのはあくまで地元市民だけでちゃんとした名称があります。

まぁ、別にこいつらと仲良くならなくても別に構わないんですが、ビビっていると思われても嫌なので軽い気持ちで、
「行ってやる」
と言ってしまったんですね。
結局次の日に行く事になり、その日は解散しました。

当日学校に集合し、自転車でいじめっ子達とその山の近くに行きました。その山までは自転車で40分程で、私達が住む町からだいぶ外れた場所にありました。

確かに近くに来ると空気が重くてあまりいい気持ちはしませんでした。いじめっ子達が笑いながらウルトラマンの人形を私に差し出し、
「これを祠の前に置いて来い」
って言ってきました。
私が先に一人で祠の前に行き、帰ってきたらいじめっ子達で確認に行くという事になりました。

私は少し怖がりながらも山の中に入っていきました。意外にも歩きやすい道であり、視界もよくサクサクと進めたのです。

20分から30分歩いたところで、祠らしい物が視界の奥に見えて来ました。その祠が視界に入った途端、体が震えたのを感じました。

祠はコケで覆われており、誰が持ってきたのか分かりませんが日本人形がポツンと置いてあったのです。それを見たらなんだが恐怖で気持ち悪くなりなかなか進めませんでした。

考えて見てください。知らない山の中でコケだらけの祠の前に日本人形がある光景を…

それでもゆっくり音を立てない様に進みました。いじめっ子に負けたくない。そんな気持ちを頭の中で考えながら…

祠の前に着き、ウルトラマンの人形を置きました。日本人形の目を見ないように慎重に引き返そうとした瞬間、下にあった木の枝を踏んでしまいました。枝は音を立てて割れました。
「うわ、やばい…」
っと思った瞬間人形の目を見てしまったのです。

人形の目が、ギョロっと動きました。

恐ろしさに頭の中がパニックになり、全力で逃げました。人生で一番身の危険を感じて疲れも忘れてダッシュで走り、いじめっ子が待つ場所まで。いじめっ子は私の様子を見て笑っていました。私が事情を話しても笑いながら
「お前の気のせいだろ。俺たちが様子を見てきてやるよ。さて確認、確認。」
と言って山の中に入っていきました。

私は恐怖の中でいじめっ子が来るのを待ちました。いじめっ子達が帰ってきて自分が近寄ると、
「なんだ、日本人形なんて無いじゃないか。ウルトラマンの人形はあったけど。」
なんて言ってました。心の中で
「あぁ、今日にも日本人形がどこかに現れて殺されんだろうか…」
なんて思ってました。まぁ、その日はそのまま帰ろうという話になって帰りました。

夜になり自分の部屋の布団に入ったのですが、あの日本人形の目の動きが頭の中でリピートされて眠れません。
「あれはなんだったんだろう?まず何故あんな山の中に日本人形が?」
なんて考えた瞬間、弟とプロレスごっこをして穴を空けてしまった障子に目が行きました。

その穴から真っ赤な目がギョロギョロギョロっと回り、私の事を探しているように見えました。これはヤバイと思ったのですが何故か視点が他に行きません。自分の目がその真っ赤な目と視点を合わせようとするのです。

「これは、ヤバイ…」
と思った瞬間視線が合ってしまいました。

「あ、見つけ………た」
っと小さな声がしました。その瞬間、その障子全体から目が目が目がたくさんの目がギョロギョロギョロっと現れました。
その目は人間の目ではないと感じました。狐狗狸?狐や狸?なんだか分かりませんが心臓が破裂しそうなくらい鼓動が速くなりました。

「ごめんなさい。ごめんなさい。」
と何度も心の中で唱えました。それでも自分の視点は固まったままで、瞬きも出来ず体も動かない。口から唾液が垂れ、死ぬと思いました。

その時、障子がスーッと空いていきました。
昼間の日本人形が顔を出し、舌を出しながら私の顔の前まで近づき真っ赤な目を合わせ、
「この子達が…あなたを…引きずり込みたいって…この子達が引きずり込みたいって…」
といって来ました。
死ぬと言う事が本当に頭の中を駆け巡りました。引きずり込む?すなわちあの世へ?
顔が真っ白で、目が真っ赤で、髪の毛はボサボサで、恐ろしい形相でした。
その瞬間廊下を走る音が聞こえたのです。
そこで私の意識は完全に途切れました。

次の日の朝目が覚めました。母親が隣にいて事情を聞くと、
「夢の中で死んだじいちゃんがあんたが危ないって言うのよ。目が覚めた瞬間あんたが心配で走ってきたら、あんたが震えていて…一晩隣で様子を見てたんよ。少し見てたら寝てしまったみたいだけどね。」
それを聞くと涙がボロボロと溢れだしました。

母親に昨日狐狗狸山に行った話をすると、いじめっ子達を含めて山の祠へ線香をあげにいく事になりました。
祠の近くにはウルトラマンの人形が置いてあり変な気持ちでしたが、
「もうここへは来ません。すいませんでした。」
と線香をあげながら祠へ語りかけました。

その日からは普通の生活に戻り、地元へまた戻り平和に暮らしています。

あの山はなんだったんだろう?


投稿者:いっしー