レッカーの仕事、スーパーエースの話25です。

今回は怖いと言うよりは不思議な話になるでしょうか。これもリクエストも言うほどではないんですが、Twitterで話しの折りに是非聞きたいと言われたので。

佐藤君が小学校6年生の時のこと。友達のいない佐藤君はいつも一人で通学路を往復していました。

ある冬の日、通学路の交差点で夜中に事故があったらしく、朝学校に向かうときにはガードレールがグチャグチャ、道路にも細かいガラス片が散乱していたそうです。

ふと横断歩道を見ると無表情の若い男の人が立っている。通学中の小学生の群れがその彼をすり抜けて渡っていく。
あぁ、この人が死んだんだな。死んだこと分かってるのかな?と思っていると、グチャグチャのガードレールの脇で泣いている若い女の人がいました。手には花束。
恋人なのか奥さんなのかは分かりませんが、男の人はどうやらその女の人を見ているようでした。その姿が佐藤君の目に焼き付いたようです。

学校が終わった帰り道、再び交差点を通った時にはもう女の人はいませんでしたが、ガードレールの足に花束と線香とタバコが一箱置いてあった。
男の幽霊は横断歩道から移動して、その花束の目の前でたたずんでいたそうです。
多分死んだことは分かってるのかな、と思った佐藤君は黙って通りすぎようとしました。

すると、佐藤君の進む先から、物凄い速さの光のようなものが一直線に向かってきた。ビックリした佐藤君。必死で避けようとして転がりました。
転んだ体勢のままでハッと見ると、その光は男の幽霊の前で煙のように柔らかくなると、朝見た女の人になったそうです。

えっ、あの女の人も死んだの?と思い、立ち上がって2人の側に駆け寄ると、何やら声が聞こえたようです。
断片的だし子供の頃の記憶だから定かではないと言っていましたが、男の人は必死に謝り、女の人は夢でも会えてよかったとか、行かないでとか言っていたみたい。

よくよく見ると、どうも女の人は色がおかしい。普通幽霊は色がない。でも女の人はうっすら色がある(完全に色があるのは生霊らしいです)。
後でお婆さんに聞いたところ、それは幽体だと言われたそうです。死んだ訳ではなく、意識とか魂が肉体から離れて飛んでくるんだと。大抵の人は無意識に出て戻る。中には自分で意図してできる人もいるが、あまり良いことではないみたいなことを言われたようです。

男女はしばらく話したかと思うと、まず女の人が煙のようになり消えて(もしかしたらまた凄い速さで戻ったのかも)、すぐ男の人も消えていった。
佐藤君は何が起きたか分からず、走って帰りました。

翌朝、またその交差点を通ると、もう男の幽霊はいなかった。
きっと昨日女の人と話せたから納得したんだなと思った佐藤君。子供ながらに花束の前で合掌して目を閉じると、何やら変な違和感がある。目を明けてふと横を見ると、煙のようなものがあり、やがてそれは女の人に変わった。
あの女の人だ!婆ちゃんが言ってた幽体だ!と、興味深く見つめる佐藤君。
しばらく花束を見つめていた女の人は、ブツブツと何かをつぶやいている。近寄って聞き耳を立てると、もう夢にも出て来てくれないとか。幽体離脱しているのではなく夢だと思っているよう。
教えてあげようかな、と佐藤君が話し掛けようとしたら、チラッと佐藤君を見てまた煙に戻ってしまったそうです。

そんなことが数日続き、事故から一週間が経った頃、学校からの帰り道の交差点で女の人と出会いました。今度は幽体ではない、ちゃんとした人間。
女の人は、新しい花束を置き線香を炊いていました。その風景を見ながら佐藤君が通りすぎようとすると、女の人が佐藤君に気づいた。あれ?みたいな変な表情を見せる女の人。

佐藤君は、少し可笑しくなりニコニコしながら「夢で会いましたよね」と言ったそうです。
女の人はビックリして、というか気持ち悪かったんだと思います(笑)逃げるように帰ってしまったみたい。
でも翌日、やはり女の人が花束の所にいて、今度は佐藤君を待っていたようです。
昨日はごめんね、少し話していいかな?と言われました。

女の人が言うには、彼がここで交通事故で亡くなってから毎日同じ夢を見るらしいです。
内容はいつも同じ。何でか分からないけど急いで行かなきゃいけない。真っ暗闇を走り、もう息が続かないという頃に目の前に光が見える。その中に飛び込むとこの場所にいるんだそうです。

最初に夢を見た日は、夕方に泣き疲れて寝てしまった日。彼がいて、ごめんね、死んじゃったと言われたそうです。でも夢でも会えてよかった、まだ話したいことたくさんあるから行かないで、と言ったんだけど彼は行ってしまったと。
それから毎日ここに来る夢を見るけど、一度も会えない。でも、いつも横に誰か分からないけど男の子がいて、何かを言おうとしてる。何?って聞こうとするんだけど、そこで目が覚めてしまうんですって。
で、昨日佐藤君に「夢で会いましたよね」って言われて、まさかと思って怖くなって逃げちゃったんだけど、話さなきゃいけないと思って待ってたんだそうです。

佐藤君はそれを聞いて、女の人に説明したそうです。
それは夢ではなくて幽体離脱で、繰り返すと体力にダメージが行くから、いつか倒れてしまう。
彼は自分で死んだことに納得して、あなたにお別れを言ったから、もうここに来ても会えない。
行かないでと思い続けてしまうと成仏の足を引っ張ることになるから、気持ちよく送ってあげて、と小学生の男の子が言うようなことじゃないような台詞を並べた佐藤君(笑)

君、何者?と女の人は引いてたみたいですが、お婆さんの説明をして、その受け売りだと言うと分かってくれたようです。

デジャヴって、意外と知らないウチに幽体離脱してて、自分で勝手に見て忘れてる景色なんじゃないかな~とこの話を聞いて思いました。




投稿者:TR
投稿者のTwitter:@tr_sato