「鳥人間が憑いていた話」の続きです。今回は少し長いです。

とある日曜の朝、携帯の着信音で目が覚めました。画面に表示された時刻は7時半。こんな時間に誰だよ...と思いながら出ます。
「ああ、〇〇?起きてて良かった。」O先輩です。
オカ研に入った日から少し経過していて、その間にも数回活動をしたのですが、その時に番号を教えたのを忘れていました。「今日家来ないかと思って。」先輩は約束したじゃん、と付け足します。暑いので正直外へ出たくなかったのですが行くことにしました。


私の最寄り駅から電車で二つの所にある駅で待ち合わせです。改札を出ると見慣れたキノコ頭が。「遅いよ〇〇!」「まだ待ち合わせ時間10分前ですよw」相当楽しみにしていたっぽい先輩とバスに乗り40分、田畑が広がる如何にも田舎といった場所で降りました。周りは山に囲まれていて、所々に民家が見えます。
「ここから歩くから覚悟してね」その言葉通り、照りつける太陽に焼かれながらひたすら何も無い道を歩き続ける事になりました。前方にお寺が見えてきます。「こんな場所にお寺あるんですね。」「寺じゃないよ、マイハウス。」「えっ」お寺だと思ったそれは立派な日本家屋でした。

門をくぐるとO母が出迎えてくれます。「いらっしゃい〇〇君、会えるのを楽しみにしていたの」O母が手渡してくれた冷たい麦茶を飲み干すと先輩がタオルで私の頭をわしゃわしゃしてきます。「ちょwやめてください、汗自分で拭けますからww」そんな光景を見てO母はにこにこしていました。「Oが友達連れてくるなんて初めてなのよ」あー確かに友達少なさそうだな(笑)

「さ、行こうか。婆ちゃん待ってるから。」Oのお祖母さんについては前に少し聞いていました。O一族は皆霊感持ちで、お祖母さんの代までは拝み屋をやっていたそうです。階段で二階に上がり「 型の廊下を曲ってすぐの部屋の襖を先輩が開けます。微かに線香の匂いがしました。「婆ちゃん、連れて来たよ」壁にはお婆さんが描いたと思われる独特なタッチの果物の水彩画が飾られています。それ以外は特に変わったものもない部屋で、ちゃぶ台の奥に小太りなお婆さんが座っていました。
「よく来たな、座れ」お婆さんがカカカッと豪快に笑います。対面には座布団が3つ敷かれていました。「1枚多いn...「鳥さんの分だ」私の言葉を遮ってお婆さんが言いました。

「黄色くて頭から毛の出たオレンジ色のほっぺたの鳥さん飼っとったろ。」自己紹介する間もなくお婆さんは話しだします。
その特徴にピンと来ました。というか、頭が鳥と聞いてカラスや鷹みたいな怖いものを想像していたけどオカメインコだったのか!確かに私はオカメインコを飼っていました。小5の頃家のベランダに迷い込んできたのです。逃げたりしなかったので保護して飼い主を探すも見つからず、私が中学に上がる頃には死んでしまいました。情が移ってしまうと飼い主が見つかった時に悲しいのでちゃんとした名前は付けず、何となく「オカメインコ先生」と呼んでいました。

「あれは特別な縁でアンタんとこ送られて来た鳥さんだね、神さんがアンタを不憫に思って送ったとよ。」
「不憫?」O先輩が口を挟みます。「親にも友達にも恵まれなかったろ。」遠慮ない物言いに少し狼狽えますが事実。私の家庭は複雑で、両親は基本家には帰って来ませんでした。私の生活費を置きに来て五分も家に留まりません。私の面倒は事情を知っている隣の家のおばさんが見てくれていました。おばさんは私の分までご飯を作ると毎日持ってきてくれます。お世話になって浮いた食事代でゲームなどを買っていましたが、オカメインコ先生(以下オカメ)が来てからは餌代にあてるようになりました。

「アンタ神社に通ってたかい?鳥さん寄越したのはそこの神さんだよ。」
確かに家の近くに小さな廃神社?があり、オカメがうちに来るまでは毎日そこで時間を潰していました。付近にちゃんと管理された綺麗な神社が建っていて地元の人は皆そちらに足を運ぶため、初詣の日すら誰も来ない神社でした。誰も来ない=自分の場所といった感じでその神社は私の中で別荘となり、狛犬を拭いたり枯葉を掃除したり、今考えると罰当たりですが本殿の中で宿題をしたりしていました。
「神さん人に忘れられて寂しかったけどアンタが毎日来るようになって嬉しかったんだと。アンタがお利口だから余計に可哀想になって話し相手をプレゼントしたんだね。」
私に霊感があれば神様も見えたのかな、と考えながら懐かしい当時を思い出します。オカメは本当によく喋るインコでした。私が話しかけるとちゃんと返事をします。オカメも私の名前を呼んでくるので私は必ず返事をします。

私の過去まで見れるなんてこのお婆さん本物の凄い人だ、と思い一番気になっていた事を聞いてみました。「体は人間で身長180センチあるって聞いたんですけど...どうしてだか分かりますか?」すると衝撃の真実を教えてくれました。
オカメが死んだ時私はとても落ち込みましたが、オカメはずっと私の側にいて話しかけていたようです。勿論幽霊なので私には見えませんが、オカメは自分が死んだと気付いていないので、私がいきなり無視するようになったと思いました。オカメは考えました。「自分が小さいから私が気付かないんじゃないか」そしてオカメは私に気付いてもらうために私と同じになろうとしたらしいのです。しかしオカメは小さいので生前いつも私の身体の辺りしか見えていなかったようで、頭だけオカメインコが残ってしまったそうです。身長が180もあるのは「人間、デカい」といった漠然としたイメージからだそうです。

話を聞いて私は号泣してしまいました。何故かO先輩も泣いていました。一緒にいたのは短い間だったけどオカメは私の大事な家族だったのです。死んでしまった時の悲しさとずっと側にいてくれた嬉しさで胸が一杯になりました。「神さんにも感謝しないといかんよ」お婆さんが言います。「アンタが大学に行くために引っ越す時、神さんは付いて行けないから鳥さんに力を分けたんよ。元々力のある鳥さんだったけどここまで強くなれたのは神さんの協力があったからだね。」ちなみにオカメは神様に自分が死んだ事を知らされたそうです。

お婆さんが号泣する私の背中をさすってくれます。「もうすぐ夏休みだろ?地元に帰って神さんに挨拶しておいで」そしてO先輩の背中をバシと叩きます。「アンタはいつまでもらい泣きしとんじゃ!!」「痛いっ!?」その光景を見て家族っていいな、と思っているとお婆さんが見透かしたように「もうアンタも婆さんの孫みたいなもんだ!」と言うもんだから余計に涙が止まりませんでした(笑)

この後O宅で庭にある面白い倉庫を見せてもらったりして過ごした後、夕食をご馳走になって帰りました。カレー最高に美味しかったです。今回も最後まで読んで下さりありがとうございました。


投稿者:ツナ缶