昔住んでいた団地で変なことがあった。
中学にあがり自分の部屋を与えられてしばらくして天井に凹凸ができていた。不思議に思って父に話したら壁紙と天井の間に空気が入ったんだろうと言われた。最近壁紙を張り替えたってこともないし納得いかなくて観察していたら日を追うごとに見知った形に思えてきて、観察する角度を変えてみたら手の形にそっくりだった。濡れた手を押しつけたみたいに指の腹と手のひらの形が浮き上がっていた。
受験生になり夜中まで勉強するようになった。部屋には自分ひとり。ウォークマンでロックを聴きながら机に向かっていると曲に混ざって何か聞こえる。水槽のポンプのような音だった。不思議に思ってイヤホンを外すと嘘のようにシーンとしていた。気のせいってことにして再開すると今度は壁の向こうから人の話し声が聞こえる。隣の部屋は居間だったから両親のどちらかが起きて深夜のバラエティ番組でも見てるんだろうと覗きに行くとシーンとしてテレビがついていた気配もない。
一連の事で怖くなって両親に何度か訴えたけど相手にされず、そのうち昼間でもおかしなことが起きるようになった。録画したビデオを見てるとリモコンも何も触っていないのに急に速戻しになったり速送りになったり、必ず自分が家に一人でいるときにだけ起きたからこれも信じてもらえなかった。
それから頻繁にトリハダが立つようになった。肌を見ると腕の一部とか脚の一部とか、ごく狭い範囲にだけ、まるで何かに触られた跡のようにトリハダが立っていた。
成人して一人暮らしをするようになり、あの団地の部屋を離れたら徐々にこういうことはなくなった。
んで、最近母と二人で出掛けたとき団地の話になった。
母は私の話に耳を貸さないようでいて実は心当たりがあったんだそうで、私が2、3歳のときに二人目を妊娠したものの体調が悪く諦めた子がいたらしい。私の話を聞いて間違いないと思ったものの口にしたら我が子が階段話になってしまうと今まで黙っていたそうだ。自分に弟か妹がいたかもしれないことが一番衝撃だったけど。


投稿者:チカ